『ユメ十夜』
11月2日(土) 19:40〜21:30
11月4日(月) 15:30〜17:20
「こんな夢を見た」ー明治の文豪・夏目漱石が明治41年(1908年)に発表した不条理で幻想的な十の夢を描いた異色の短編小説「夢十夜」。漱石自ら、この作品が理解されるには永い年月がかかるだろうと予言してから100年後の2006年、明治が生んだ文豪の傑作「夢十夜」の映像化に、昭和が生んだ10人の天才・異彩監督がその挑戦に挑む!
2006年/日本/110分
第一夜
作家の百閧ニ妻のツグミは平穏に暮らしていた。百閧ヘ机に向かっているが、なかなか筆が進まない。それどころか、時間がさかのぼっているような感覚を覚える。百年の時空を越えた男女の愛を、鬼才が超現実的に描く。
監督:実相寺昭雄
出演:小泉今日子、松尾スズキ
第二夜
男がうす暗い部屋に入って座ると、いつの間にか和尚がいる。そして男は自分が侍だったことに気づく。巨匠が、モノクロ映像にサイレントというスタイルで、煩悶する侍の苦悩をアイロニカルに描く。
監督:市川崑
出演:うじきつよし、中村梅之助
第三夜
ある夏の日。子どもたちの声も騒々しく、漱石の筆はなかなか進まない。そればかりか、いいようのない苛立ちを感じていた。6人目の子を身ごもっている妻の鏡子は、その夜、奇妙な話をする。Jホラーの旗手が、漱石の深層心理を不気味に描き出す。
監督:清水崇
出演:堀部圭亮、香椎由宇
第四夜
田舎町に講演にやって来た漱石。「町民会館前」でバスを降りたはずが、そこは「面影橋四丁目」だった。実相寺監督の弟子にあたる清水厚監督が、思い出の世界に迷い込んだ漱石の夢を、ノスタルジックに描く。
監督:清水厚
出演:山本耕史
第五夜
真砂子が鳴り響く電話の音で目を覚ますと、聞き覚えのある声がこう告げる。「夜が明けて、鶏が鳴くまで待つ……」過去と現在、悪夢と現実を交錯させながら、人間のもうひとつの姿をサスペンスフルに描く。
監督:豊島圭介
出演:市川実日子、大倉孝二
第六夜
運慶が仁王像の頭(かしら)を彫るというので、見物人が集まってくる。現れた運慶は、唐突にブレイクダンスを踊り始める。スタイリッシュなモノクロ映像が冴え渡る、才人・松尾スズキ監督の遊び心満載のコメディー。
監督:松尾スズキ
出演:阿部サダヲ、TOZAWA、石原良純
第七夜
旅人が巨大な船に乗っているが、どこへ向かっているのかもわからない。ひどい孤独感を感じ、いっそ死のうかと思っていると、甲板で少女に出会う。精巧な3DーCGアニメーションで、人間の孤独と寂寥感を幻想的に描いたファンタジー。
共同監督:天野喜孝、河原真明
出演:Sascha、秀島史香
第八夜
子どもたちが田んぼで遊んでいると、その中のひとりミツが、チューブ状の不思議な生物を捕まえる。ナンセンスなユーモアと奔放なイメージの応酬による、脱力コメディー。
監督:山下敦弘
出演:藤岡弘、
第九夜
幼い坊と母を残して、父は出征していった。夜、神社の境内に連れて行かれた坊は、母がお参りしているあいだ、待っていなければならない。注目の女流監督が、どこかへ行ってしまった父を想う母と子、そして意外な真実を、ミステリアスに描く。
監督:西川美和
出演:緒川たまき、ピエール瀧
第十夜
町一番の色男・庄太郎は、美女には目がないが、ブスは死んで当然と思っている非道な男。そんな庄太郎が、瀕死の形相で帰ってくる。雄大節ともいえるギャグ炸裂の怪作。山口雄大作品とはなじみ深い漫画家、漫☆画太郎が脚色。
監督:山口雄大
出演:松山ケンイチ、本上まなみ、石坂浩二