どうも、再び技術部&作品選定部の藤原です。
今日はクロージングで上映する『裁かるるジャンヌ』を紹介したいと思います。
作品の情報はこちら↓
http://www.clarktheater.jp/work_closing.htm
この作品は個人的に今年のClark Theaterで一番多くの人に観て欲しい作品です。
別に他の作品をディスってる訳じゃないです。どれも良い作品だと思うんです。
でもこれと比べちゃったら・・・ねぇ・・・。
何せ格が違います。どの辺が凄いか書きます。
まず、この作品で特徴的かつ芸術的かつ圧倒的なのはクローズアップを多用しているとこです。
多用ってレベルじゃないです。
ほとんど全編がジャンヌや審問官の顔のクローズアップで占められています。
まあ古典的な手法って言ったらそうなんですが、それでもその強烈な演出効果に息をのみます。
クローズアップがごく当たり前に使われている現代でこれを観ても、です。
とにかく登場人物の、特にヒロインであるジャンヌ・ダルクの、感情がこちらにダイレクトに伝わってくるんです。
もちろんただ単に顔をアップで撮っているだけじゃありません。
1カット1カットの微妙なカメラアングルも見てみてください。
ジャンヌの表情、ひいては感情をより効果的に見せる工夫がなされています。
さらにこの映画は、その構成も大胆です。
とにかく余計なものをこれでもかと言うほどに省いているんです。
そもそもストーリー自体、ジャンヌが異端審問にかけられ火刑に処せられるというシンプルなものですが
実際には3ヶ月かかっている裁判の内容も1日に凝縮され
せっかく製作したセットも全景が映されることは殆どなく
人物の相関関係の描写すら一切省かれ
同じ空間にいる人物の位置関係も描かれていません。
そうして徹底的に純化された中で見えてくるのは、やはり主人公の姿。
フランスの英雄としてではなく、信仰心の強い一人の少女としてのジャンヌ・ダルク。
そんな彼女の心情の軌跡が見る側に痛いほど伝わってくるのです。
そして本作の一番凄まじいシーン。それはラスト、ジャンヌが火刑に処せられるシーンです。
これはまさしく筆舌に尽くしがたい壮絶なもので、ここでは表現しきれないので書きません。
実際に観てください。鳥肌が立ちます。
んでもってまだ書きたいことは幾つかあります(主演のルイ・ファルコネッティの熱演とか、カール・ドライヤー監督のこととか)が、長くなりすぎるのでもう止めにします。
すでに長いですが。
最初に書いたように本作はクロージング特別上映という形で上映します。
ということで入場無料です。無料ですよ、無料。
映画史に残るこの名画を大きなスクリーンで是非ご覧ください。
自分もこっそり劇場入って観ます。
シフト入ってても知りません。サボタージュします。
すみません冗談です。
では。
実験アニメーションは凄い!
こんばんは!作品選定部&技術部2年の西本です(^0^)/
最近、睡眠時間を少なくする方法を模索しています。ショートスリーパーが羨ましいです(涙)
さて、今日は私が大好きなノーマン・マクラレンをご紹介します。
マクラレンは実験アニメーション界の巨匠なんですが、私は最近まで知りませんでした。
アニメーション好きの先輩から借りたDVDを、何故かメンバーの皆と観る機会がありまして、そこでマクラレンの存在を初めて知ったのですが、その衝撃はもう、、計り知れなかったです!
特に『色彩幻想-過去のつまらぬ気がかり』はジャズ演奏に合わせて、色彩が動くという数分の映像作品なんですが、とにかく観ているだけで陶酔しちゃいます。今までの私の中のアニメーションの概念が変わりました。
芸術とかにおける「実験」って、既成のものを壊して、新しい可能性を見つけ出すっていう、危険な香りもするけれど凄くカッコイイものだと思っています。
実験映画や実験アニメーション、大好物です(^m^)
ちなみに、『色彩幻想』のジャズはオスカーピーターソントリオの演奏なんですが、マクラレンがオスカーピーターソンを口説き落としたらしいですよっ。音楽を聴くだけでも楽しめる作品です♪
クラークシアターにお越し頂いた際は、ぜひマクラレンの世界に浸ってくださいね。
短編アニメーションプログラムの6作品のうち、マクラレンの作品は『色彩幻想』を含め4作品も上映します。
では、寒くなってきましたが、風邪には気をつけてください(^ー^)
名画は時を越える -Cross and War編-
どうも、技術部兼作品選定部の藤原です。
今日はClark Theater 2010の長編プログラムの作品の一つ、『禁じられた遊び』について書きたいと思います。
有名な作品ですね。知っている人も多いと思います。
あらすじは↓に書いてあるので省略して、とっとと語ります。
http://www.clarktheater.jp/work_long.htm
この映画は反戦がテーマの一つとしてありますが、劇中冒頭以外ではあまり戦争が前面に出てきません。
むしろ物語の背景に横たわっているように思えます。
後ろの方にぼんやりと、でも確実にあるって感じですかね。
なのでほかの戦争を題材にした映画よりも静かな印象です。
静かなのですが、決してぬるくはありません。
切ない映画です。
少しストーリーに踏み込んで書きますと、
主人公のポレットは独軍機の機銃掃射によって両親を亡くすんですが、その時は悲しむ様子が見えません。
むしろ一緒に死んだ犬の方を心配しています。
きっと「死」というものをよく理解できていなかったんだと思います。
墓作りをしているときもそうです。その行為が本当は何を意味しているのか、幼すぎて理解できていない感じがします。
それがこの物語のテーマにつながる重要な点だと、そう思います。
ただ、あまり書くと気付かないうちにネタバレになってしまいそうなので、なんかもうそろそろやめます。
というか書いているうちに自分もこの映画についてあんまり理解していない気がしてきました。
シンプルな映画なのに、なかなか深いです。もう一度見返したいです。
ということでClark Theater期間中にお客さんに紛れて観ることにします。
みなさんもぜひこの名作を映画館で観てください。
別に小難しいこと考えなくても、ポレットとミシェルの二人の物語を見ているだけで、この映画の切なさは十二分に伝わると思います。
では。